ランチェスター法則

ランチェスター経営戦略で市場シェアはなぜ大切?中小零細企業向けのマーケット占有率の調べ方

ランチェスター戦略シェア

こんにちは、ワードメーカー株式会社の代表、狩生です。

ランチェスター戦略を勉強していると、シェアについての話がよく出てくると思います。ですが、そこで疑問が生じるのではないでしょうか。

  • 「なんでシェアが大事なのか?」
  • 「そもそもシェアってどう測るのか?」
  • 「中小零細企業がシェアを掴むためには、何を見ればよいのか?」

今日はこんなランチェスターとシェアにまつわる問題についてみていきたいと思います。

なぜシェアが大事なの?

ランキング

市場占有率が大切です。シェア1位を目指しましょう。

ランチェスターを語る上で外せないのが、シェアという概念です。

でも、なぜシェアが大事なのでしょうか。

シェア1位を目指す理由は簡単です。

シェア1位になると、最も利益性が高くなるからです。

これはきちんとデータで裏付けがされています。ですから、会社を利益体質にしたいと思ったら、市場シェアを上げる必要があるのです。

売上が大きいからスゴイ…わけではない

売上至上主義

「ウチの会社はおかげさまで年商●億で…」と売上の規模の自慢をする方が時々いらっしゃいますが、大切なのは売上ではなく、どれだけ一人あたりの利益があるかです。

利益を出した後、税金を支払った残りが”会社の体力”として将来に渡って残るので、会社を存続させ続けるためには、効果的に利益の積み上げていかなければなりません。

ですから、売上は大きいのに利益が出せていない会社というのは、図体ばかり大きくて何も残せていない…極めて不健康な状態と言えます。

従業員数が多いと、大きく見えますので、一人あたりで割ってみるとわかりやすいです。

反対に、規模で見れば中小零細企業と言えども、毎期しっかりと利益を出すことを続けていれば、自ずと優良企業になれます。蓄積されていくからです。

もし会社の目標を売上ベースで考えているという方は、どれだけ残っているか?という視点でも考えるようにしてください。

そして、利益性をよくするためにはシェア1位になることが欠かせないのです。

シェア1位になると、実際どうなるのか?

シェア1位になれば、○○と言えば、■■という状態になれます。

例えば…

  • カップラーメンと言えば、日清
  • スナック菓子と言えば、カルビー
  • 宅配便と言えば、ヤマト

○○と言えば…と言われただけで、誰もが思い浮かべることができる。こんな状態になれるのが、シェア1位の特権です。

そして、シェアと利益というのには相関関係があります。

シェア1位の会社は筋肉質な会社になっています。

上場企業のデータを見ると分かる、シェア1位のすごさ

シェア1位

上場企業の場合、会社の情報が公開されているので簡単に調べることができますよね。

ランチェスター経営では会社の利益を比較する際、よく「従業員一人あたりの経常利益」という指標を使います。

シェア1位の会社の従業員一人あたり経常利益は、シェア2位~4位の会社と比較すると平均して3~6倍も多いと言われています。

当然、シェア1位の企業にお勤めの方が、2位以下の企業の3~6倍も多く働いているわけではありません。倍ということすらないですよね。だいたい1日8時間+残業といったところなので、マンパワー的にはあまり違いがないはずです。

社員は同じだけ働いているのに、シェア1位かそうでないかで、その利益性には大きな差がついてしまう…

この3~6倍という数字を見ると、誰しもがシェア1位になりたい、ならなければという思いが強くなると思います。

中小零細企業の1位の目指し方

シェア1位になりたいと思っても、「車市場」「ビール市場」といった大きなマーケットの中で1位を目指すことを中小企業がやろうとするのは、あまりに無理がありますよね。

でも、「全体市場」ではなく「特定市場」で1位になればいいのです。

具体的には、「○○市××区の水道工事」、「△△駅前の学習塾」といった具合にエリア、業種、ターゲットの年齢層など細かく分けた特定市場で1位を目指せばよいのです。

たとえば、私の出身地(大分県中津市)の場合…

私は、子供の頃からラーメンと言えば「宝来軒」というお店に行くのが当たり前でした。

大分県中津市に当時4~5店あるチェーン店だったのですが、子供の頃はてっきり「宝来軒」は全国にあるものだと思っていました。

ですから、ずいぶん大きくなってから他人に「宝来軒」と言っても分かってもらえないことで、初めて「宝来軒」が全国ブランドではないことを知りました。

本当に無知でした(笑)

実際には「宝来軒」は、全国ブランドどころか大分県全域で強いというほどですらなく、単に中津発祥で中津市に多いだけだったのです。

それでも、中津市民にとっては「ラーメンと言えば宝来軒」なので、中津市のラーメン店市場においてシェア1位、特定市場では大成功を収めていたというわけです。

中小零細企業はどうやってシェアを測るのか?

上場企業や、統計が発表されているような大きな市場、例えばコンビニ業界とか家電業界といったものであれば、シェアを測ることは簡単です。

しかし全体市場の中での自社のポジションを見るというのは、中小零細企業にとってはあまり意味を成しません。

そこで、中小零細企業の場合は宝来軒さんの例のように特定市場でのシェアを調べて1位を目指す方が合っています。

では、中小企業が特定市場でのシェアを調べたい…と思ったら、具体的には何を調べ、どう考えていけばよいのでしょうか?

市場シェアを調べる方法

まずは、ある特定の市場における全体数を調べてから自社の占める割合を調べる、いわゆる特定市場における市場シェア(マーケットシェア)を調べる方法を2つ紹介したいと思います。

方法① 公的・民間機関の統計データを利用する

法人企業統計調査や、民間の調査期間である矢野経済研究所、船井総合研究所、インテージなどが公表している市場規模を表す統計を使って、業界全体の規模を把握してから、「じゃあ自社の対象エリア内だったらどれぐらいか?」を割り出す方法です。

業界の市場規模>商圏内の市場規模…

と、順に求めていけば良いので、とてもシンプルです。

これを行うことで、自社の得意エリア・苦手エリアを売上規模ベースで見るのではなく、シェアベースで見ることができます。

方法② 人口動態から推測する

人口統計を使って市場規模を測る方法もあります。

たとえば赤ちゃんが生まれた方向けに学資保険を提案している代理店の場合。2020年8月、当社の事務所がある福岡市中央区では121人が誕生しています。

次は何%の方が学資保険に加入するか?という割合を調べます。

そして、自店からの加入状況を見ることで、シェアが分かります。

単月のデータなので細かくはなりますが、できるだけ細かく見ることでよりリアルにイメージできるようになるのでオススメです。

同じように葬儀社の方であれば、死亡者数を調べ、葬儀を行う方の割合を掛けることで母数を知り、シェアを見ることができます。

このように人口動態は厚生労働省のホームページから簡単に見ることができ、出生・死亡・死産・結婚・離婚などのデータを得ることができるので、関連する業種の方は参考にしてみてください。

→厚生労働省「人口動態調査」

営業シェアを求めるという考え方

次に市場シェアを測るのが難しい…という業界の方でも使えそうな方法を考えてみましたのでご紹介します。それが「営業シェア」という概念です。

これは統計がなくてもインターネット検索などを利用することで、簡単に大まかなシェアを掴む方法です。

方法① キーワード検索

たとえば、「注文住宅 福岡市」というキーワードで検索した時に、自社はどのくらい表示されるでしょうか?

キーワード単位で見た時に表示される順位や数、割合を見ることで、シェアを推測することができます。

また、ランキングサイトや、広告での評価を指標として見ることもできます。

方法② 店舗数や件数での比較

  • カフェの場合。○○市にカフェが何店舗あるのか?そのうち何店が自社なのか?
  • 看板なら○○市にいくつ看板があるのか?そのうち何個が自社の看板なのか?
  • 営業会社であれば、ライバル企業と営業マンの人数で比較をするのもいいかもしれません。

営業シェアを調べる方法を考えてみると、意外と色々とある気がします。

統計にこだわらず「このエリアでどれぐらい普及しているか?」「どれぐらい知られているか?」といったざっくりとしたイメージを持つだけでも、シェアを把握する上での手助けになります。

ランチェスターにおける”シェア”についてのまとめ

ここまで見てきたように、様々なシェアを求める方法というのが存在するので、「中小企業だからシェアが分からない…」とか、「統計がないからイメージできない…」というのは単なる言い訳になってしまいます。

どんな小さな会社でも、ある狭い範囲「特定市場」に区切って数字を求め、比較することで自社のシェアを知ることは可能です。

特定市場のシェアを日々チェックするクセを付けておくと、客観的な自社のポジションの把握に繋がります。

そして、売上ではなく客観的な「シェア」を目標にすることで、経営において正しいかじ取りをすることに繋がると思います。

この記事により、「シェアが分からないから、ランチェスターができない…」という中小企業の方にありがちな誤解が溶け、「そうか、特定市場で1位になればいいのか!」と、明確な目標を持って励んでいただくきっかけになれば私も嬉しいです。

 

ランチェスター経営戦略は使えない?3つの欠点とその解決策

こんにちは、ワードメーカー株式会社の狩生です。

今日は「ランチェスター経営戦略は使えない?」というテーマの記事です。

正直、こういうことは記事にしてまで書くことではないかもしれませんが…私自身、「古い戦略」と思っていた時期があったので過去の自分に向けて伝えていきます。

ランチェスター経営「戦略社長塾」塾長として法則を学んで実践している立場でもある私がなぜ今回こんな話をするのか。

それは、ランチェスター戦略には【欠点】があることを知っているからです。

※「ランチェスター戦略」「ランチェスター経営戦略」「ランチェスター経営」は同意義で使用しています

残念ながら、ランチェスター戦略は簡単に使いこなせる戦略ではありません。でも、取り組まないと損をしてしまうこともあります。

ですから、この戦略のウィークポイントをしっかりと認識した上で、「ではどうするべきか?」という解決策を提示したいのです。

こんな思いを持っている方にオススメの記事です

こんな方に

  • 「ランチェスター戦略を学んでみたいけど、今からやっても意味はある?」
  • 「ランチェスター戦略が、本当に使えるのか知りたい…」
  • 「本やセミナーなどで前に学んだけど、よくわからなかった…」

ランチェスター戦略ってもう古いんじゃないの?とか、本腰を入れて勉強してみて、大したことなかったらイヤだなあ…など、ランチェスター戦略に興味はあるけど、無駄かもしれない…と思っている方に向けてお話しをしていきたいと思います。

「やって損をするのも、やらなくて損をするのもイヤ…」

そんな方が、ランチェスター戦略を正しく行って、損をしないようにする方法を伝えていきたいと思います。

私も最初は「古い」と思っていました…

古い

私も起業した当初は、ランチェスター戦略に対して古臭いイメージがありました。

「昔の人がやっていたもの。今では使えない戦略」だと思っていたのです。

しかし、実際のところはとっつきにくい…というだけでした。

事実、起業から14年以上私はランチェスターを実践することで、会社を存続させることができています。この法則・戦略を知らなかったら、今日まで会社を潰さずに経営を続けることができなかったかもしれません。

私は「弱者の戦略」を採用し続けることで、“わずかばかりしかない経営資源”を無駄にすることなく、結果を出すことができたのです。

「最初はちょっと使いにくいけど、法則なので人間が存在する限りちゃんと使える」…これがランチェスター戦略の真実です。

とはいえ、私も最初は“使えない”と思っていた経緯もありますし、今でもしっかりと理解できていない部分もあります。

ですが私は、ランチェスター戦略の長所だけでなく、短所も知っているからこそ、この戦略を中小企業の方が活用できるように情報提供したいと思っています。

では、前置きが長くなりましたが、さっそく本題にいきましょう。

ランチェスター戦略が「使えない」と言われる所以

ランチェスター戦略は使えない、実践的でない、意味がない、やっても結果に繋がりにくい…こういった評価を耳にしたこともあるかもしれません。

では、なぜこう言われてしまうのかを解説します。

【欠点1】いきなり戦争の話から始まるので取っつきにくい

戦争の話

ランチェスター戦略の1番の欠点と言っても過言ではないのが、「いきなり戦争の話からはじまる」というところにあります。

ランチェスター戦略は、第一次世界大戦の頃発見された戦争理論が元になっており、兵力数と武器性能が敵にどれだけ損害を与えるかを元に戦い方の2つの法則を導き出した…という経緯があるため、まず冒頭の解説として、戦争の話は避けて通れないというわけです。

でも戦争を知らない世代にとって、いきなり戦争理論からスタートして興味を持てと言われても無理があります。経営の話が聞きたかったのに、いきなり戦争の話にタイムスリップするのが嫌という声もあります。(特に女性は…)

ランチェスター戦略はいきなり戦争の話から始まるため、リアリティに欠けていて面白くないし、取っつきにくいという欠点があります。

【解決策】2つのやり方があるという点だけを抑える

2つのやり方

ランチェスター戦略の起源の話などは、あまり意識しないで飛ばしてしまっても大丈夫です。

もちろん、最初から理解できたほうがよいですが。私も自分の勉強会では、あまり込み入った話はしないようにしています。

大切なことは、本質を理解して実践できること。

ランチェスター戦略には、「弱者の戦略」「強者の戦略」という2つの戦略があるということを理解し、ご自身がどちらの戦略を選択すべきかが分かればそれで十分です。

どちらの戦略を採用するか、正しい判断ができるかどうかで結果は大きく変わってきます。

【欠点2】理解できたとしても実践が難しい

ランチェスター戦略2つ目の欠点は、たとえ2つの法則を理解できたとしても、その実践が難しいということにあります。

これはあまり大きな声では言えませんが、ランチェスター戦略を教える立場の人であっても、実際に実践できているか…というと必ずしもそうではないように思います。

私自身もまだまだ不十分で、ずっと学んでいます。

10年以上も前に、私と一緒にランチェスター経営を学んだ経営者の方の中にも、残念ながら廃業された方もいらっしゃいます。

言うは易く、行うは難し…私も肝に銘じて日々実践に励もうと思っています。

さて、ではなぜそんなに実践が難しいのかというと、ランチェスター戦略を学ぶ上で頻出の事例が、「トヨタVSホンダ」とか「アサヒVSキリン」というような大企業の話ばかりだということが挙げられます。

弱者にしろ、強者にしろ超一流の大企業の戦略を聞かされても、「それでウチの会社は何をすればいいの?」と思ってしまうからです。

当社のような中小零細企業にとっては、規模感の違いから実践イメージを持ちにくくなってしまうのです。

せっかく退屈な戦争の話をクリアしたと思ったら、次は大企業の話ばかり。

そこで興味を失ってしまったり、結局ウチの会社向きの戦略ではないのかも…と早合点してランチェスター戦略を「やらない」と判断してしまうようです。

【解決策】どんな市場にも、必ず弱者と強者が存在する

弱者と強者

  • 自分の会社が「トヨタ」か「ホンダ」か分からない…
  • 中小零細企業には、関係のない話…?
  • 抽象的すぎて、実践するイメージができない…

そんな思いを持っているのなら、ランチェスター戦略がまだまだ他人事であり、「自分ごと」になっていないと思います。

たとえば、「○○市○○区の外壁塗装業」とか、「△△駅前の歯科医院」といった狭い市場で考えてみてください。

そしてシェア1位なのか、2位以下なのかが分かれば戦い方が見えてきます。

ランチェスター戦略は抽象的な話が多いから、実践しにくい…という声がある反面、抽象度が高いが故に法則の本質的な部分を理解していれば、応用が利くという良さもあります。

法則はあくまでも法則なので、すぐには結果が出ないこともあります。

でも、経営の上では「大損しないこと」というのもとても大切です。

このランチェスター戦略を知っていることで、誤った選択をすることが避けられます。

そして、この法則が当てはまるかどうかは、規模の大小は問いませんので、ぜひ「自分ごと」として取り組んでいただきたいなと思います。

【欠点3】シェアの測り方が分かりにくい

ランチェスター戦略3つめの欠点が、そもそも市場シェアをどう測ったらいいのか分かりにくいところです。

ランチェスター戦略では、シェア1位の企業は利益性がよくなるので、シェア1位を目指して経営を行っていくというのが大前提になります。

しかし、そもそもの問題として、市場シェアってどう測ったらよいのでしょうか?

一般的な方法として、統計をベースにシェアを考えることができます。たとえば、

  • 法人企業統計調査
  • 矢野経済研究所
  • インテージ
  • 船井総合研究所

といった各種公的機関や民間企業が統計調査を行ったデータを見ることで、業種別の年間売上といった市場規模を示す数字を知ることができます。

その母数に対して、自社の占有率がどのぐらいかを見ることで、シェアを調べます。

しかし、これらの統計を使ってシェアが分かるのは、比較的規模の大きい会社だけ。中小零細企業が自社のシェアを知りたいという時には、統計調査の数字だけを使って考えるのには限界があると思います。

また、インターネット業界など、もともとシェアが測りにくいビジネスもありますよね。

たとえばSEOの市場規模は?といった広範囲の数字は調査している会社さんがあります。(ちなみに2016年時点で430億円超とのこと)ですが、これだけではまったくイメージが沸きません。

「シェアの測定方法が分からないから、ランチェスターは無理かも…」

「ほらやっぱり、結局ランチェスター戦略って大企業向けの戦略なんじゃないの?」

そんな声が聞こえてきそうなので、私なりの解決策を提示したいと思います。

【解決策】「特定市場における占有率」で考える

特定市場

統計の数字が直接自社のシェア把握に役立つのなんて、ほんの一握りの大企業だけ。

だったら、自分でもっと狭い範囲で見て、「特定の市場における占有率」を割り出してみましょう。

たとえば、住宅着工件数やリフォーム件数など、統計のある業界であれば、福岡市の住宅着工件数の中の何%を自社が占めているか?というように、地域でさらに絞ることで具体的な数字が見えるようになります。

また、インターネットの世界であれば、あるキーワードを検索した時の検索結果を自社がどれぐらい占めるか?という視点からシェアを測ることもできます。

店舗数・実績件数・売上高といったデータだけでなく、ネットの検索結果広告の掲載順位なども含めてもいいと思います。ある市場の中で、自社はどれぐらいの位置にいるのか?というのをざっくりと掴むことが大切です。

また、市場規模の概算を掴むためには、“フェルミ推定”も有効です。

フェルミ推定とは、実際に調査をするのが難しい、捉えられない数字を推定することで導き出す方法です。

たとえば…

「東京都にある電柱の数」をフェルミ推定で出すのなら、東京都の面積と、どれぐらいの間隔ごとに電柱があるかを元に割り出すことができます。

「福岡市で互助会に入っている人」なら、福岡市の人口推定加入率(%)を使うと大まかな数字が見えますし、さらに年代別の人口加入率を見たり、60代以上の世帯数なら…?など、範囲を区切って推定することで、求めたい数字に近づくことができます。

結論:ランチェスター戦略は法則なのでずっと使える

法則

ここまで見てきたように、ランチェスターには大きく分けて3つの欠点があります。ですが、それらの欠点をきちんと解決する方法も存在します。

欠点1 いきなり戦争の話?と思っても…

戦争の話に興味が持てない人は、飛ばしてOKです。大切なのは「弱者の戦略」と「強者の戦略」という2つの戦略を理解し、自分はどういう局面でどちらを選択すべきかということ。

欠点2 なかなか実践できない時は?

なかなか実践に繋がらないのは、まだランチェスターが「他人事」だから。大企業の事例を聞いて最初はピンと来なくても、自分が弱者か強者か分かれば、トヨタの戦略を採用するべきなのか、ホンダの戦略を採用すべきなのかが分かる。

そして、「よし、ホンダ(orトヨタ)の路線で考えるぞ!」という姿勢で学べば、ランチェスターが「自分ごと」になり、実践に繋がる。

欠点3 そもそも「シェア」が分からない時は?

大きく考えず、「特定市場における占有率」を見てみる。

自社の営業エリア内の客数をフェルミ推定で出してみるも良し、キーワード検索やランキングサイトなどの順位を見ても良し。

強者か弱者かを知り、最適な戦略を採用しながらシェアアップに励むことで、いつしか狙った「ある市場における強者」になることで、利益性を良くして、さらにまた次の市場の強者を目指していく。

取っつきにくくてもランチェスターを実践すべきたった1つの理由

欠点のある戦略をわざわざやるなんて面倒かも…と読んでいるうちに士気が下がってしまった方もいるかもしれません。

ですが、やるべきです。

なぜなら、ランチェスター戦略を知らなかったばっかりに、弱者なのに強者の戦略を採っていたり、反対に強者なのに弱者の戦略を採っていたら、大損をするかもしれないからです。

いくらでも経営資源がある…という方は試行錯誤して、経営の浮き沈みの荒波すら楽しんで過ごすことができるかもしれません。

会社の1つや2つ潰しても、また作ればいいや…そう思える資産とメンタルがある方には、不要な話かもしれません。

でも、大多数の経営者はそうではないと思います。

限られた経営資源をいかに無駄にせず、会社を継続させ利益を残していくか…というのが、命題だと思います。

だったら、知らず知らずのうちに損をするやり方をしていたら、嫌だと思いませんか?

ランチェスター戦略は、自社に合った効果性の高い戦い方を教えてくれます。ですから、経営資源を無駄にして損をしないために、是非とも取り組んでいただきたいのです。

今日からランチェスター戦略を始めてみませんか?

ランチェスター戦略を始めるのは、実はそんなにハードルの高いことではありません。

まずは、自分が「強者」なのか、「弱者」なのかを知ること。そして、じゃあどうするか?を考えること。

最初は「使えない」と思っていたランチェスター戦略を、「なかなかいいじゃん」と思えたら、今までの経営に新たな視点が加わります。

ぜひ、一歩踏み出してみてください。

 

中田敦彦さんのランチェスター戦略講義にひとつだけ補足【射程距離理論】

中田敦彦さんのランチェスター戦略講義に補足

こんにちは、ワードメーカー株式会社・代表の狩生です。

あなたはオリラジのあっちゃんこと、お笑いコンビオリエンタルラジオの中田敦彦さんが、ランチェスター戦略に関するYouTube動画を出されているのをご存知ですか?

やっぱり「あっちゃんカッコいい!」

1位

このYouTube動画はランチェスター界で断トツの再生回数を誇っており、「ランチェスター」とネット検索するだけで上位表示されるほどです。

この動画を見たら、正直「あっちゃんカッコいい!」と言わずにはいられないですね。

それぐらいよくまとまっていて、しかもご本人の体験を元に解説をしている点が本当に分かりやすく、まさに天才!と思いました。

特に、よくありがちな「自分が弱者なのに、強者の戦略を採っていた…」という失敗を、YouTubeチャンネル開設当初の自分のポジション取りやコンテンツ選びと照らし合わせて赤裸々に語っているところが共感を呼ぶとともに、理解を手助けしてくれます。

私はランチェスターをかれこれ10年以上勉強してきているのですが、まだまだ学ぶことだらけだなと思っています。

ですので、分かりやすさピカイチの中田敦彦さんの動画は、あなたにもぜひ一度視聴することをお勧めしたいです。※YouTubeで検索するとすぐに出てきます。

中田敦彦さんの動画にひとつだけ補足させてください

僭越ながら、中田敦彦さんの動画の中でひとつだけ触れられていなかった、でもとても大切な内容があるので、補足させていただきたいと思います。

それは、【強者の定義】のところです。

ランチェスター戦略を学ぶ上で外せないのが、強者・弱者という立場とその定義です。

中田さんの動画では、

強者はシェア26.1%以上の1位

…というように定義されています。しかし、実はこの説明では少し不十分なのです。

なぜなら、シェア26.1%以上の1位でも、強者の戦略を全面的に使わないほうがよい会社も存在するからです。

初めての方にも分かりやすくするために、敢えて詳細を省いて説明をされたのかもしれません。

しかし、このままでは誤解が生じたり、もし強者でないのにも関わらず、強者の戦略を採ったために失敗してしまう人が生じるかもしれない…そう思ったため、今回私の方でもう少し詳しく解説をさせていただけたらと考えました。

シェア26.1%の1位でも、必ずしも強者ではない?

強者になるための条件として欠かせないのが、2位との差がどれだけ離れているか?という視点です。

ランチェスター戦略では、2位との間に1.7倍以上の差があることが正しい強者の条件になります。

10対6以上という言い方も出来ますが、これだとちょっとイメージがしにくいですよね。

そこで、私はルート3の概算で1.7倍以上と覚えています。

√3 人並みにおごれや 1.7320508…

細かい数字は重要ではないので、「2位に1.7倍以上の差」(もしくは簡単にして2倍以上の差)という点だけ覚えてください。

後ろにぴったり付けられているうちは、完全な強者とは言い切れない

難しく考えなくても大丈夫です。

単純な話、自社のシェアが26.1%でも、2位のシェアがもし25%だったら、ほぼ互角ですよね?

※とはいえ、そういう業界はあまりありません。シェアが分散している業界では、26%占有率があれば、ほとんどは強者の条件が整っています。

ちょっと話はそれますが、マラソンで考えてみても、自分が1位の時にもし2位の人が1m後ろに居たら全然安心できないですよね。2位の人は諦めるどころか、死ぬ気で追いかけてくるでしょう。消耗戦になれば、何らかのきっかけであっさり抜かれるかもしれません。

経営においても同じようなことが言えます。

√3(1.7倍)以上という差を付けていなければ、1位の企業も安定せず、収益性も高くはありません。僅差であれば、強者の戦略をそのまま使うことができません。

つまり、「強者かどうか?」という定義には、シェアのパーセンテージだけではなく、【下位の相手との距離】という概念が関係しているのです。

ですから、26.1%のシェアを取れば絶対に強者の戦略!というわけではないのです。

ランチェスター2つの戦い方

√3(1.7倍)を説明するためには、ランチェスターの2つの法則について触れる必要があるため、簡単にですがお伝えさせていただきます。

ランチェスター第1法則(2社間競争)

ライバルと2社間競争(一騎打ちの時)に適用される公式は、

攻撃力=兵力数×武器性能(質)

これが第1の法則です。

ランチェスター第2法則(複数社間競争)

複数社ライバルがいる状態での競争(複数社間競争)の場合、適用される公式が変わります。

それが、

攻撃力=兵力数2×武器性能(質)

兵力数が2乗になるのが第2法則です。

2つの法則を活用したのが、コープマンモデル(クープマンモデル)

√3というのは、必勝数値というものが関係しています。

ランチェスター戦略を分析し、ゲーム理論と組み合わせて導き出したコープマンモデル(クープマンモデル)によると、第1法則において、攻撃力が3:1の差がつけば、勝つことができるというのです。

※上限目標の独占シェア(73.9%)と下限目標のシェア(26.1%)から導き出されたものが「3対1」

しかし、ビジネス上ではライバルと一騎打ち…という局面はなかなかありません。複数社間で競争をすることがほとんどです。ですから第2法則を使います。

複数社間競争の場合、武器性能が同じであれば、兵力を√3(1.7倍)にすれば勝てるということが分かっています。

つまり、ビジネス上では第2法則によるこちらの数字、1.7倍を目指す必要があるのです。

※ただし、局地戦など限定的な市場の場合は第1法則が適用されるので、3倍の差が必要

これは戦争の話に限ったことではありません

攻撃力・兵力・武器といった言葉を聞いて、「また戦争の話?」と思われた方も多いかもしれません。

しかし、現代流に言えばこの兵力数は【営業マンの数】とか、【広告費の大小】などに置き換えて考えることができます。

たとえば、すごく単純な話で、同等のスキルを持った営業マンなら、エリア2位の企業が100人配置しているのなら、1位の企業は170人以上配置すればよいのです。

ビジネス上でもさまざまな活用方法が考えられます。

完全な強者になりきれていない例

たとえば携帯電話の契約数における事業者別シェアを見ると、

1位 NTTドコモ 38.1%
2位 KDDIグループ(au) 27.9%
3位 ソフトバンクグループ 21.4%
(2019年9月末時点 総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」より)

この場合、ドコモのシェアは「2位auの1.37倍」しかありません。

しかもauのシェアも3位のソフトバンクの1.3倍ほど。

2位に1.7倍以上の差をつけることができていないので、シェア1位のドコモは完全な強者ではなく、2位の脅威に少しも気が抜けない状態です。

2位との差1.7倍以上を目指すには?

ドコモのように2位との差が1.3倍程度しかない場合、2位のauにとっては1位を目指せる圏内に入っている状態です。

このような場合は、ドコモは全面的に強者の戦略だけを採用しているのは危険です。

もちろん、シェア自体は38.1%と全体の4割近くを占めている1位ではありますので、基本的には強者の戦略で構いません。

しかし、僅差にはなりますので、マーケットを地域・顧客層(年齢・性別や属性など)・販路など、さまざまな見方で細分化した時、シェアがしっかりと取れていない“自社のウィークポイント”が必ず存在しているはずです。

そういった弱い部分に関しては、部分的に弱者の戦略を取り入れる必要があります。

圧倒的な1位になりたいと思ったら…

「現状はシェア1位でも、2位以下に大きな差をつけることができていない。自分はもしかしたら、強者ではないのかも…」

そういう会社もあると思います。

ライバルに攻め込まれるかもしれない―とハラハラするよりも、一刻も早くシェア1位として安定した地位を築きたいと思いますよね。

そんな時は、射程距離を意識して2位以下を突き放してみませんか?

営業マンの数、店舗数、広告費などの予算、ブログの記事数やYouTubeの動画投稿数など…あなたの会社のパワーを結集して、ライバルの1.7倍を目指すことで、ライバルの射程範囲外に出ることができます。

もちろん、質を高めることも大切ですが、たとえば個々の営業社員のスキルアップを図るというのは難易度が高く、すぐには成果が出ないものです。

だったら、まずは簡単な量的側面から攻めてみましょう。

概算レベルで構いません。

26.1%以上のシェアを取り、2位の企業に1.7倍以上の差をつける…というのが覚えにくければ、「ある特定市場で市場シェアの4分の1以上を取り、2倍の差を付ける」という概算のイメージで覚えてしまっても結構です。

細かいことはあまり重要ではなく、ぴったり後ろに付けられているうちは強者とは言い切れない。

圧倒的な1位ではない会社は、細分化されたマーケットの中での自分の立ち位置を確認しながら、集中投入して成果を出していただけたら思っています。

参考になれば幸いです。

1位

ランチェスターは「法則」だから利用したほうが得

ランチェスターっていうのは、経営学や経営の理論と考えるよりも、「法則」と考えたほうがわかりやすいと思います。

法則というのは、カンタンにいうと「物事の間で成立する普遍の関係」のことです。

たとえば・・・の例としまして、有名な法則から理解してみましょう。 続きを読む