ランチェスター経営戦略は使えない?3つの欠点とその解決策

ランチェスター戦略は使えない?

こんにちは、ワードメーカー株式会社の狩生です。

今日は「ランチェスター経営戦略は使えない?」というテーマの記事です。

正直、こういうことは記事にしてまで書くことではないかもしれませんが…私自身、「古い戦略」と思っていた時期があったので過去の自分に向けて伝えていきます。

ランチェスター経営「戦略社長塾」塾長として法則を学んで実践している立場でもある私がなぜ今回こんな話をするのか。

それは、ランチェスター戦略には【欠点】があることを知っているからです。

※「ランチェスター戦略」「ランチェスター経営戦略」「ランチェスター経営」は同意義で使用しています

残念ながら、ランチェスター戦略は簡単に使いこなせる戦略ではありません。でも、取り組まないと損をしてしまうこともあります。

ですから、この戦略のウィークポイントをしっかりと認識した上で、「ではどうするべきか?」という解決策を提示したいのです。

こんな思いを持っている方にオススメの記事です

こんな方に

  • 「ランチェスター戦略を学んでみたいけど、今からやっても意味はある?」
  • 「ランチェスター戦略が、本当に使えるのか知りたい…」
  • 「本やセミナーなどで前に学んだけど、よくわからなかった…」

ランチェスター戦略ってもう古いんじゃないの?とか、本腰を入れて勉強してみて、大したことなかったらイヤだなあ…など、ランチェスター戦略に興味はあるけど、無駄かもしれない…と思っている方に向けてお話しをしていきたいと思います。

「やって損をするのも、やらなくて損をするのもイヤ…」

そんな方が、ランチェスター戦略を正しく行って、損をしないようにする方法を伝えていきたいと思います。

私も最初は「古い」と思っていました…

古い

私も起業した当初は、ランチェスター戦略に対して古臭いイメージがありました。

「昔の人がやっていたもの。今では使えない戦略」だと思っていたのです。

しかし、実際のところはとっつきにくい…というだけでした。

事実、起業から14年以上私はランチェスターを実践することで、会社を存続させることができています。この法則・戦略を知らなかったら、今日まで会社を潰さずに経営を続けることができなかったかもしれません。

私は「弱者の戦略」を採用し続けることで、“わずかばかりしかない経営資源”を無駄にすることなく、結果を出すことができたのです。

「最初はちょっと使いにくいけど、法則なので人間が存在する限りちゃんと使える」…これがランチェスター戦略の真実です。

とはいえ、私も最初は“使えない”と思っていた経緯もありますし、今でもしっかりと理解できていない部分もあります。

ですが私は、ランチェスター戦略の長所だけでなく、短所も知っているからこそ、この戦略を中小企業の方が活用できるように情報提供したいと思っています。

では、前置きが長くなりましたが、さっそく本題にいきましょう。

ランチェスター戦略が「使えない」と言われる所以

ランチェスター戦略は使えない、実践的でない、意味がない、やっても結果に繋がりにくい…こういった評価を耳にしたこともあるかもしれません。

では、なぜこう言われてしまうのかを解説します。

【欠点1】いきなり戦争の話から始まるので取っつきにくい

戦争の話

ランチェスター戦略の1番の欠点と言っても過言ではないのが、「いきなり戦争の話からはじまる」というところにあります。

ランチェスター戦略は、第一次世界大戦の頃発見された戦争理論が元になっており、兵力数と武器性能が敵にどれだけ損害を与えるかを元に戦い方の2つの法則を導き出した…という経緯があるため、まず冒頭の解説として、戦争の話は避けて通れないというわけです。

でも戦争を知らない世代にとって、いきなり戦争理論からスタートして興味を持てと言われても無理があります。経営の話が聞きたかったのに、いきなり戦争の話にタイムスリップするのが嫌という声もあります。(特に女性は…)

ランチェスター戦略はいきなり戦争の話から始まるため、リアリティに欠けていて面白くないし、取っつきにくいという欠点があります。

【解決策】2つのやり方があるという点だけを抑える

2つのやり方

ランチェスター戦略の起源の話などは、あまり意識しないで飛ばしてしまっても大丈夫です。

もちろん、最初から理解できたほうがよいですが。私も自分の勉強会では、あまり込み入った話はしないようにしています。

大切なことは、本質を理解して実践できること。

ランチェスター戦略には、「弱者の戦略」「強者の戦略」という2つの戦略があるということを理解し、ご自身がどちらの戦略を選択すべきかが分かればそれで十分です。

どちらの戦略を採用するか、正しい判断ができるかどうかで結果は大きく変わってきます。

【欠点2】理解できたとしても実践が難しい

ランチェスター戦略2つ目の欠点は、たとえ2つの法則を理解できたとしても、その実践が難しいということにあります。

これはあまり大きな声では言えませんが、ランチェスター戦略を教える立場の人であっても、実際に実践できているか…というと必ずしもそうではないように思います。

私自身もまだまだ不十分で、ずっと学んでいます。

10年以上も前に、私と一緒にランチェスター経営を学んだ経営者の方の中にも、残念ながら廃業された方もいらっしゃいます。

言うは易く、行うは難し…私も肝に銘じて日々実践に励もうと思っています。

さて、ではなぜそんなに実践が難しいのかというと、ランチェスター戦略を学ぶ上で頻出の事例が、「トヨタVSホンダ」とか「アサヒVSキリン」というような大企業の話ばかりだということが挙げられます。

弱者にしろ、強者にしろ超一流の大企業の戦略を聞かされても、「それでウチの会社は何をすればいいの?」と思ってしまうからです。

当社のような中小零細企業にとっては、規模感の違いから実践イメージを持ちにくくなってしまうのです。

せっかく退屈な戦争の話をクリアしたと思ったら、次は大企業の話ばかり。

そこで興味を失ってしまったり、結局ウチの会社向きの戦略ではないのかも…と早合点してランチェスター戦略を「やらない」と判断してしまうようです。

【解決策】どんな市場にも、必ず弱者と強者が存在する

弱者と強者

  • 自分の会社が「トヨタ」か「ホンダ」か分からない…
  • 中小零細企業には、関係のない話…?
  • 抽象的すぎて、実践するイメージができない…

そんな思いを持っているのなら、ランチェスター戦略がまだまだ他人事であり、「自分ごと」になっていないと思います。

たとえば、「○○市○○区の外壁塗装業」とか、「△△駅前の歯科医院」といった狭い市場で考えてみてください。

そしてシェア1位なのか、2位以下なのかが分かれば戦い方が見えてきます。

ランチェスター戦略は抽象的な話が多いから、実践しにくい…という声がある反面、抽象度が高いが故に法則の本質的な部分を理解していれば、応用が利くという良さもあります。

法則はあくまでも法則なので、すぐには結果が出ないこともあります。

でも、経営の上では「大損しないこと」というのもとても大切です。

このランチェスター戦略を知っていることで、誤った選択をすることが避けられます。

そして、この法則が当てはまるかどうかは、規模の大小は問いませんので、ぜひ「自分ごと」として取り組んでいただきたいなと思います。

【欠点3】シェアの測り方が分かりにくい

ランチェスター戦略3つめの欠点が、そもそも市場シェアをどう測ったらいいのか分かりにくいところです。

ランチェスター戦略では、シェア1位の企業は利益性がよくなるので、シェア1位を目指して経営を行っていくというのが大前提になります。

しかし、そもそもの問題として、市場シェアってどう測ったらよいのでしょうか?

一般的な方法として、統計をベースにシェアを考えることができます。たとえば、

  • 法人企業統計調査
  • 矢野経済研究所
  • インテージ
  • 船井総合研究所

といった各種公的機関や民間企業が統計調査を行ったデータを見ることで、業種別の年間売上といった市場規模を示す数字を知ることができます。

その母数に対して、自社の占有率がどのぐらいかを見ることで、シェアを調べます。

しかし、これらの統計を使ってシェアが分かるのは、比較的規模の大きい会社だけ。中小零細企業が自社のシェアを知りたいという時には、統計調査の数字だけを使って考えるのには限界があると思います。

また、インターネット業界など、もともとシェアが測りにくいビジネスもありますよね。

たとえばSEOの市場規模は?といった広範囲の数字は調査している会社さんがあります。(ちなみに2016年時点で430億円超とのこと)ですが、これだけではまったくイメージが沸きません。

「シェアの測定方法が分からないから、ランチェスターは無理かも…」

「ほらやっぱり、結局ランチェスター戦略って大企業向けの戦略なんじゃないの?」

そんな声が聞こえてきそうなので、私なりの解決策を提示したいと思います。

【解決策】「特定市場における占有率」で考える

特定市場

統計の数字が直接自社のシェア把握に役立つのなんて、ほんの一握りの大企業だけ。

だったら、自分でもっと狭い範囲で見て、「特定の市場における占有率」を割り出してみましょう。

たとえば、住宅着工件数やリフォーム件数など、統計のある業界であれば、福岡市の住宅着工件数の中の何%を自社が占めているか?というように、地域でさらに絞ることで具体的な数字が見えるようになります。

また、インターネットの世界であれば、あるキーワードを検索した時の検索結果を自社がどれぐらい占めるか?という視点からシェアを測ることもできます。

店舗数・実績件数・売上高といったデータだけでなく、ネットの検索結果広告の掲載順位なども含めてもいいと思います。ある市場の中で、自社はどれぐらいの位置にいるのか?というのをざっくりと掴むことが大切です。

また、市場規模の概算を掴むためには、“フェルミ推定”も有効です。

フェルミ推定とは、実際に調査をするのが難しい、捉えられない数字を推定することで導き出す方法です。

たとえば…

「東京都にある電柱の数」をフェルミ推定で出すのなら、東京都の面積と、どれぐらいの間隔ごとに電柱があるかを元に割り出すことができます。

「福岡市で互助会に入っている人」なら、福岡市の人口推定加入率(%)を使うと大まかな数字が見えますし、さらに年代別の人口加入率を見たり、60代以上の世帯数なら…?など、範囲を区切って推定することで、求めたい数字に近づくことができます。

結論:ランチェスター戦略は法則なのでずっと使える

法則

ここまで見てきたように、ランチェスターには大きく分けて3つの欠点があります。ですが、それらの欠点をきちんと解決する方法も存在します。

欠点1 いきなり戦争の話?と思っても…

戦争の話に興味が持てない人は、飛ばしてOKです。大切なのは「弱者の戦略」と「強者の戦略」という2つの戦略を理解し、自分はどういう局面でどちらを選択すべきかということ。

欠点2 なかなか実践できない時は?

なかなか実践に繋がらないのは、まだランチェスターが「他人事」だから。大企業の事例を聞いて最初はピンと来なくても、自分が弱者か強者か分かれば、トヨタの戦略を採用するべきなのか、ホンダの戦略を採用すべきなのかが分かる。

そして、「よし、ホンダ(orトヨタ)の路線で考えるぞ!」という姿勢で学べば、ランチェスターが「自分ごと」になり、実践に繋がる。

欠点3 そもそも「シェア」が分からない時は?

大きく考えず、「特定市場における占有率」を見てみる。

自社の営業エリア内の客数をフェルミ推定で出してみるも良し、キーワード検索やランキングサイトなどの順位を見ても良し。

強者か弱者かを知り、最適な戦略を採用しながらシェアアップに励むことで、いつしか狙った「ある市場における強者」になることで、利益性を良くして、さらにまた次の市場の強者を目指していく。

取っつきにくくてもランチェスターを実践すべきたった1つの理由

欠点のある戦略をわざわざやるなんて面倒かも…と読んでいるうちに士気が下がってしまった方もいるかもしれません。

ですが、やるべきです。

なぜなら、ランチェスター戦略を知らなかったばっかりに、弱者なのに強者の戦略を採っていたり、反対に強者なのに弱者の戦略を採っていたら、大損をするかもしれないからです。

いくらでも経営資源がある…という方は試行錯誤して、経営の浮き沈みの荒波すら楽しんで過ごすことができるかもしれません。

会社の1つや2つ潰しても、また作ればいいや…そう思える資産とメンタルがある方には、不要な話かもしれません。

でも、大多数の経営者はそうではないと思います。

限られた経営資源をいかに無駄にせず、会社を継続させ利益を残していくか…というのが、命題だと思います。

だったら、知らず知らずのうちに損をするやり方をしていたら、嫌だと思いませんか?

ランチェスター戦略は、自社に合った効果性の高い戦い方を教えてくれます。ですから、経営資源を無駄にして損をしないために、是非とも取り組んでいただきたいのです。

今日からランチェスター戦略を始めてみませんか?

ランチェスター戦略を始めるのは、実はそんなにハードルの高いことではありません。

まずは、自分が「強者」なのか、「弱者」なのかを知ること。そして、じゃあどうするか?を考えること。

最初は「使えない」と思っていたランチェスター戦略を、「なかなかいいじゃん」と思えたら、今までの経営に新たな視点が加わります。

ぜひ、一歩踏み出してみてください。

 

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