動物に学ぶ

弱みを強みに変えるナマケモノに学ぶ生き残り戦略

このブログでは、ランチェスター戦略をはじめとした企業経営に役立つ情報について発信をしています。

今日は動物の戦略というテーマです。

以前もこのブログでアラビアオオカミや、ハネジネズミについて触れましたが、今日は【ナマケモノ】を取り上げます。

ナマケモノというと、その名の通り「怠けている」というイメージがありますが、ちゃんと行動には意味があるんです。

今回のお話しは、稲垣 栄洋さんの著書『弱者の戦略(新潮選書)』を参考にさせていただいています。

私自身、動物の戦略については非常に興味があって、いろんな本を読んだのですが、その中でもこの本が一番分かりやすかったのでオススメです。この本の中の紹介文がまた秀逸なので、紹介させていただきます。

「群れる、メスを装う、他者に化ける、動かない、ゆっくり動く、くっつく、目立つ、時間をずらす、早死にするなど、ニッチを求めた弱者の驚くべき生存戦略の数々」

この紹介文だけでも結構そそられますよね。興味がありましたら、ぜひ読んでみてください。

ナマケモノとは?

環境

ナマケモノは南米に生息し、熱帯林の中で暮らしています。

特性

1日20時間以上も眠っているという特性があります。1日のほとんどの時間を寝て過ごして居ることから、日本では「ナマケモノ」と呼ばれています。

また、ゆっくり動くというのも大きな特徴の一つです。

テレビなどでそのゆったりした動きをご覧になったことのある方も多いかと思いますが、実際に100m歩くのに1時間ぐらいかかるそうです。

それだけ時間をかけて移動するとかえって疲れそうにも感じますが、この短い距離を長時間で動くというのがナマケモノの特性であり、戦略です。

そしてナマケモノは、生涯を木の上で過ごすというのも他の動物とは異なる特性を持っています。

食事

ナマケモノは食事についてもとても変わっていて、毒性のある葉っぱを餌にしています。毒があるので他の動物が食べないので、餌を探し回る必要がありません。

食料を巡る競争が発生すると、他の動物よりも先に食べるためにより早く動くことが必要になってきますが、誰も好まない毒性の葉っぱなので、ナマケモノにはその必要がありません。

さらに、食事の量も極めて少なく、1日に8gほどしか食べません。8gというのは塩でいうと、大さじ2分の1杯ぐらいになります。これだけしか食べなくても、ナマケモノはほとんど動かない、とても低燃費な動物なので大丈夫なのです。

しかも、消化にもとても時間がかかるようです。1枚の葉っぱを食べると、数週間は消化に費やすそうです。

天敵

ナマケモノの天敵は、ジャガーやワシなどです。

特にジャガーは木登りができ、ネコ科ですが水も恐れません。南米の熱帯林の中でジャガーはまさに向かうところ敵なしというような存在です。しかも、動体視力に優れ、動きも素早いので動物がジャガーから逃げられるところはほぼない、と言われています。

逃げられないから、逃げないという戦略

天敵であるジャガーから逃げるのはほぼ無理、というのが今回のテーマの重要なポイントです。ナマケモノはどうすることにしたか?

それは、「逃げない」という戦略なのです。

ジャガーは動体視力が良く、逃げる場所もない。だから、「逃げない」という戦略をとったのがナマケモノです。

逃げないようにするためにはどうすればいいか?というと、「見つからないようにする」ということになります。だから、木に擬態して見つからないようにするために、動かないようにしているのです。

ジャガーは動体視力がいいので、動いているものを見つけるのには長けているのですが、動いていないのを見つけるのが苦手です。

天敵から逃げられる場所がないので、「動かない」という戦略をとった。とても面白い考え方ですよね。

経営戦略として考えてみると…

ナマケモノの生態を見ると、ゆっくり動くということには、天敵から逃れるためにとても意味がある戦略だということが分かりました。早く動けることだけがメリットではないのです。

また、「補給」についても、他の動物が好まない毒性のある葉っぱを選択したり、あまり動かないことで少ししか食べないで済むようにするといった面白い戦略がありました。

ビジネス上でも、市場環境だったり、さまざまな事柄をメリット/デメリットという視点で考える局面があると思います。

でも、デメリットがメリットになることもある、という発想を持つことが大事だと感じました。

このナマケモノの生態から学んだことを、どう活かすかというのは人それぞれだとは思いますが、粗利益は高い方がいいとか、顧客の数は多いほうがいい…といった固定観念を持つのではなく、こういったポジションの取り方があるという発想は、大きな学びに繋がると思います。

 

ちなみに、ナマケモノは動かないという戦略の結果、身体にコケが生えるそうです。そして、そのコケも食料にすることができるのです。とても面白い生態ですよね。

「経営戦略について迷っている…」「ランチェスター戦略で考えると、今の会社の状態ってどうなんだろう…」など、戦略に関して気になることがあれば、他の記事もご覧ください。

ハネジネズミに学ぶポジショニング 戦略【市場開拓の例】

ハネジネズミ

こんにちは、ランチェスター経営「戦略社長塾」塾長の狩生(かりう)です。

ランチェスター経営を学んだり、実践していく中で私は「動物の戦略」について興味を持っています。

動物が生き残りのために取ってきたさまざまな戦略を知ることで、それが経営戦略の学びにも通じると感じているからです。

前回の記事では、アラビアオオカミの戦略についてお話ししましたが、今日は第二回としてハネジネズミの戦略をご紹介したいと思います。

こちらは、『ダーウィンが来た!』というNHKの番組を視聴して、学んだことです。ハネジネズミの戦略はとても独自性があり、面白いので私なりに要素分解してお伝えしていきたいと思います。

※動画でも解説しています

特徴としては5つの視点があります。

  1. 環境
  2. 特性
  3. 食料
  4. 天敵
  5. 子孫

この5つの視点で、ハネジネズミのことをご紹介し、最後に経営に活かすための方法をご紹介したいと思います。

ハネジネズミのポジショニング戦略

1.環境

アフリカのサバンナに生息しており、自分だけの領域を開拓するということを行っています。

さらに、開拓したところを整備して、自分だけの領域に自分で道路を作るというのが大きな特徴です。

なぜこのようなことをするかと言うと、一番は天敵から逃げられるようにするためです。草をどけて通り道をキレイにしておくことで、天敵から逃げやすい環境を整備し、生き残るためです。

天敵から逃げられ、かつ食料を確保できるという条件を満たす場所に自分のポジションを築いているのです。

2. 特性

ハネジネズミの写真を見ていただくと分かるように、長い鼻があります。すごく可愛らしいのですが、実はゾウの仲間で、嗅覚に優れているそうです。

大きさはキウイフルーツぐらいで、敵が来ると猛ダッシュで逃げる、とてもすばしっこい生物です。

さきほど環境のところで紹介したように、自分だけの領域を持っているので、その領域や道を毎朝点検をしてキレイにするのを日課にしています。

隅々まで掃除をするかのような様子をテレビで見て、職人さんのようだなあと思いました。

3. 食料

食料は、バッタなどの昆虫を食べて暮らしています。

鋭い嗅覚をもっており、食料を確保できる場所に自分の領域をつくるようにしています。

4. 天敵

天敵であるイワオオトカゲから食べられてしまう、というのがハネジネズミにとって最大の脅威です。

ですから、いかにしてイワオオトカゲから逃れるかということで生きる戦略を立てています。

ハネジネズミの特徴として、「目を見開いたまま眠る」という習性があります。眠りが浅くなってしまう代わりに、いつ天敵が来ても逃げられるというメリットがあります。

また、自分の領域をいつも点検して掃除しているので、見通しが良くなります。天敵を発見しやすくして、すぐ猛ダッシュで逃げられるようにしているのです。

しかも、ただ見通しが良いだけだとハネジネズミ自身も天敵から見つかりやすくなってしまいますので、道を複雑にすることで、天敵から逃げられるようにしています。

5. 子孫

最後に子孫についてです。ハネジネズミは配偶者と同じ道路で生活しているのですが、基本的に別行動です。これは、リスク分散していると言われています。

赤ちゃんは、生後数日ですぐ走り回ることができるようになるので、すぐ天敵から逃れられるように育っていきます。その後は巣立ちし、自分の「街探し」をしていく流れになります。

経営に活かすための3つのポイント

以上のハネジネズミの戦略から、経営に活かすために3つのポイントがあることが分かりました。

  1. ポジション開拓
  2.  毎日の点検
  3. 天敵に備える

では、順を追って解説していきたいと思います。

1. ポジション開拓

ハネジネズミの生き方、暮らしぶりを知って改めて感じたのが、独自の道を開拓することの大切さです。

そして、独自のポジションを開拓するのには、簡単にはできないというのがポイントです。

ハネジネズミが行っていたように、草をどけて道をキレイにしたりといった作業が伴うためにとても時間がかかりますよね。

忍耐が必要です。

また、独自のポジションを開拓するためには「補給」ができなければなりません。ハネジネズミであれば、バッタなどの食料が確保できること。

企業で言えば“粗利益”が確保できること。そこにお客さまが存在していなければ、意味がありません。

2. 毎日の点検

2つ目に、環境は常に変化しているということを意識する必要があると思いました。

ハネジネズミであれば、道に草が覆いかぶさってしまったり、道が通れなくなってしまうことがないよう毎朝点検をして整備をしています。もし、知らないうちに道が塞がれていたら、命を落とすことにも繋がるからです。

つまり、最適なポジションを開拓できたと思っても、安心するのではなく市場環境の見えない変化に気を配る必要があるのです。ですから、経営においても毎日の点検が欠かせないと言えます。

ちなみに、全世界で2400万部を超えるベストセラーとなった『チーズはどこへ消えた?』という本も、変化への対応の仕方についてとても分かりやすく解説しているので、オススメです。

3. 天敵に備える

3つ目のポイントは、天敵に備えるということです。

経営においては、様々な脅威が存在すると思います。特に、天災や法規制、そして今回の新型コロナウイルス感染症の影響など、いつ何が起きるかわからない、自分の力ではコントロールできないようなことも起こりますよね。

そういった、自分ではコントロールできない脅威に対しては、日頃から備えておくということしかありません。

経営体力に乏しい企業だと、何かが起きた時に対応することができません。力を蓄えておくということは非常に大切です。

今日からできること

以上のように見ていくと、ポジション開拓には時間がかかります。しっかりとしたマーケティングを行って独自性と補給性の2つの面がきちんと両立する場所を見つけていかなければなりません。

しかし、毎日の点検と、天敵に備えることは今日から始めることができます。

ハネジネズミのように、道に生えた1本の草が命取りにならないように、絶えず対応をしていきましょう。

市場の変化を感じた時は、あなたも変わる時なのです。

 

当社では、ランチェスター戦略を活用したコピーライティングを行っています。最近ご相談いただくのは、コロナ対策に関連した文章の作成です。

  • 店舗や会社で実践している感染対策
  • お客さまが利用される際の注意事項
  • 通信販売、デリバリー、テイクアウトなど新サービスのご案内
  • zoomを使ったオンライン相談の実施告知

など…

感染対策やオンライン化など、せっかく市場の変化に対応していても、それがお客さまに伝わっていなければ、ご利用促進には繋がりません。

「環境変化への対応策がよく知られていないかも…」という方は、お気軽にご相談ください。

 

市場の変化に対応する~アラビアオオカミに学ぶ経営戦略

(注:写真はアラビアオオカミではありません。希少性が高い種類のためフリー素材では写真が見つかりませんでした。ご了承ください)

こんにちは、ランチェスター経営「戦略社長塾」塾長の狩生です。

経営戦を学ぼう、と思った時。実はけっこう身近なところにも学ぶテーマが隠れていると感じています。

特に、自然界で生きる動物の生態を詳しく知ることで、生き残るための知恵や環境への適応方法など、経営に活かせる内容をたくさん知ることができます。

そこで、「動物の戦略」をご紹介しながら、経営戦略について考えていきたいと思います。

※動画でも解説しています。

アラビアオオカミとは?

アラビア半島南部に生息するオオカミで、イスラエルなどの砂漠地帯に住むことから「砂漠のオオカミ」とも言われています。

NHKのワイルドライフという番組で紹介されていたことをキッカケに、アラビアオオカミの生態について知りました。

気温50度、半年に一度しか雨が降らない砂漠という非常に厳しい環境に生きるアラビアオオカミは、環境に適応するためにオオカミの中で最小の個体であり、耳が大きいという特徴があります。

アラビアオオカミは、群れをなして集団でじっくり獲物を追跡して狩りをする…というオオカミのイメージとは異なり、あまり狩りはせず、2~3匹で行動し、雑食で家畜の死骸を食べたりして暮らしています。

世界に700匹しかいないアラビアオオカミの生き方は、経営戦略として見るとどのような状態なのでしょうか。私は、2つ学ぶ点があると考えました。

1.市場環境に対する規模

餌や水の確保が難しい砂漠地帯において、大きな個体を維持することは容易ではありません。また、熱の影響を最小限にするためにも、アラビアオオカミはオオカミ最小の個体となりました。

これを経営戦略として考えてみると、市場環境に見合ったサイズになっているか?ということです。

市場というのは常に変化するもの。たとえば現在は多くの市場で新型コロナウイルスの影響が出ています。顧客の減少、ニーズの減少があった時、今までの規模で挑んではいないでしょうか?

その時々で、市場環境に適切な規模というものが存在します。

右肩上がりの市場の時にやっていた戦略や売上規模などを、市場が厳しくなったにもかかわらずそのまま通用させようとすれば、上手くいかないのは当然です。

市場環境に対して規模が大きすぎてしまうと、支えきれなくなってしまうので注意する必要があります。

また、アラビアオオカミの特徴である大きな耳も熱の発散効率をよくするためと言われています。

過酷な環境で生きるアラビアオオカミのように、ビジネスの上でも市場環境に合わせて、日々自らのあり方を変えていくということが必要だと思います。

2.あえて厳しい市場に挑む

競争のない未開拓市場のことをブルーオーシャンと言いますが、アラビアオオカミはまさにブルーオーシャンに生きるオオカミと表現することもできます。

アラビアオオカミの場合は仕方なく砂漠を選んだという背景があるようですが、砂漠というライバルが避けるような過酷な環境を敢えて選ぶことで、競争を避けることができます。

未開拓市場に参入する際の注意点として、「補給ができるか?」つまり、経営戦略で言うところの「粗利益の確保ができるか?」という視点が大切です。

アラビアオオカミの場合は、この「補給」の部分があまりに少なかったために絶滅の危機に瀕しています。

あえて厳しい市場を選ぶ時は、「補給ができるか?」というポイントを踏まえて考える必要があると思います。

以上の2つが、アラビアオオカミから学ぶ経営戦略となります。参考になれば幸いです。

経営戦略についてなど、なにかご相談があればお気軽にお問い合わせください。